国会の中継やニュースなどで度々でてくる有効求人倍率というキーワード。
有効求人倍率は「仕事を探している人(求職者)1人あたりにどのくらいの仕事の数(求人件数)があるか」を表している数字です。
2008年のリーマンショック後に下落し、2009年の有効求人倍率は0.42と一人あたりの求人件数が0.4件程度だったのが、2018年には1.6倍と1人あたり1.6件の求人件数がある状態まで急上昇しています。
ハジメ
リカさん
しかし、「有効求人倍率が1.6倍だから仕事も選びたい放題!」という訳でもありません。実は有効求人倍率の計測方法にはいろいろな欠陥があるため、いまの転職市場をちゃんと反映させられていない可能性があります。
業種や地域によっては、むしろ昔よりも仕事が見つかりにくい状態にあることもあります。
そこで今回は、この有効求人倍率について分かりやすく解説するとともに、有効求人倍率1.6倍に隠された謎や疑問についてもご紹介していきます。
有効求人倍率が急上昇し人手不足とニュースになる中、ほんとうの転職市場の実態はどうなっているのでしょうか。
目次
有効求人倍率ってなに?
有効求人倍率とは仕事を探している人(求職者)1人あたり何件の求人があるかを示している数字でです。
有効求人倍率=求人件数÷仕事を探している人(求職者)
有効求人倍率は厚生労働省が毎月発表をしています。
単純に有効求人倍率が1を超えると仕事を探している人1人あたりに1件以上の仕事がある状態で「売り手市場(人手不足状態)」、有効求人倍率が1以下の場合は「買い手市場(人手が余っている状態)」です。
一般に求人倍率が高いと企業がより多くの人材を求めている状態なので、それだけ経済状況が活発だと考えられています。
そして2018年ではこの有効求人倍率が1.6倍を超えたのです。(仕事を探している人1人あたり1.6件の求人募集がある状態)
ただこの有効求人倍率はハローワーク(公共職業安定所)での有効な求人件数と求職者の数字で算出されています。
ハジメ
そのため有効求人倍率が現在の転職市場そのものというより、有効求人倍率は「全体の傾向」として捉えておくのが良さそうです。
有効求人倍率が現している数字の謎や疑問については次の章でご紹介します。
都道府県別有効求人倍率
2018年の平均では1.61倍と過去最高水準と言われていましたが都道府県ではどうなっているのでしょうか。
有効求人倍率は都道府県によっても大きく異なります。都道府県別有効求人倍率を多い順に並べてみました。
都道府県 | 2018年平均 |
---|---|
全国 | 1.61 |
東京都 | 2.13 |
福井県 | 2.07 |
広島県 | 2.05 |
岐阜県 | 2.00 |
石川県 | 1.99 |
・・・・ | ・・・・ |
鹿児島県 | 1.31 |
青森県 | 1.30 |
高知県 | 1.27 |
長崎県 | 1.25 |
神奈川県 | 1.20 |
北海道 | 1.18 |
沖縄県 | 1.17 |
やはり東京は有効求人倍率が高くなんと2.1倍。求職者1人あたりに仕事が2件以上ある状態です。
それに対して北海道や沖縄では1.1倍台と低くなっています。
都道府県によって有効求人倍率が1.1〜2.1倍と大きく開いているのです。
職業別有効求人倍率
また職業によっても有効求人倍率は大きく異なります。
職業 | 有効求人倍率 |
---|---|
建設躯体工事の職業 | 10.67 |
建築・土木・測量技術者 | 5.51 |
家庭生活支援サービスの職業 | 5.71 |
介護サービスの職業 | 4.01 |
建設躯体(鉄筋工事・大工工事)や建築・土木・測量と言った建設業関係、また家庭なども含めた介護支援サービスも平均より大幅に高くなっています。
職業 | 有効求人倍率 |
---|---|
一般事務の職業 | 0.38 |
会計事務の職業 | 0.81 |
美術家、デザイナー、写真家、映像撮影者 | 0.55 |
反対に一般事務職や会計事務といった事務職やデザイナー関係も有効求人倍率が低くなっています。
ハジメ
リカさん
有効求人倍率の謎と理由
この急上昇していると言われている有効求人倍率ですが、いくつか疑問があります。
転職市場全体を調査できてるの?
前述の通り、厚生労働省が発表している有効求人倍率はハローワーク(公共職業安定所)での数字が元になっています。ハローワークに登録してある求人数を求職者数で計算されています。
転職活動をする際、転職先が決まる前に退職すると失業保険などの関係でハローワークで求職することはありますが、在職中に次の転職先を決めた場合はハローワークを介さないで転職する人がほとんどです。
在職中に次の仕事を探し、転職エージェントや転職サイトなどで転職先を決めた場合はカウントされません。また企業側もハローワークに求人を出さずに転職エージェントや転職サイトなどで人材を探している会社も多数あります。
ハジメ
リカさん
ハローワークだけの数字で「求人数が増えている」「求職者が減っている」と見るのは転職市場の現状とは異なってきていそうです。
特定の職業だけ有効求人倍率が不自然に低い
2018年の有効求人倍率が1.61ですが、職業によって10倍から0.3倍台と大きな開きがありいます。
とくに「事務職」が求職者数約500万人と全職業の中で一番多いにも関わらず、有効求人倍率が0.38倍と低くなっています。
介護や飲食関連職での有効求人数が大幅に超過となる一方で、一般事務 の職業は大幅に有効求職者数が超過となっているなど、職業別のミスマッチが生じている。
中には退職後、「とりあえず求職活動、職業は事務職で」とハローワークに登録している人もいるでしょう。
また大企業などでもは一般事務職を減らしシステム化などを推進している流れもあります。いずれ人がやっていた業務を自動化・システム化して無くそうという流れもあり、「一般事務」という職業も以前より求められなくなりつつあります。
有効求人倍率でいえば一番求職者が多い「事務職」が0.38倍という数字になっているので、「とりあえず事務職で」という人を正確に分類することで大きく変わっていく可能性もあります。
有効求人倍率について まとめ
近年上昇中の有効求人倍率についてご紹介してきました。
何かと話題に有効求人倍率ですが、ハローワークのみの数字だったり、職業によって大きな差があるので、転職を考えている側としては1.61倍に上昇!がそのまま当てはまるとは限りません。
しかしながら全体の傾向として人手不足感があるということは現しています。
ハジメ
もちろん安易な転職はおすすめしませんが、人材を求めている企業は増えていますので今より条件アップを考えているならチャンスでしょう。また現在フリーターや職歴なしとった方も、正社員で入社する最後のチャンスです。
転職するタイミングの指標として毎月発表される有効求人倍率について注目していきましょう。
【フリーターから正社員】令和元年ラストチャンスに就職のポイントを抑えて成功させよう!